新年2月を迎えて
“克己復礼”という言葉を今一度、思い起こしている。
いうまでもなく、指導的立場の人間に常に我慢と自省を求め、さらに礼儀を正すように諭した言葉である。
2024年の年明けは、あまりにもショッキングな出来事が重なり、自然災害の恐ろしさ、また、少しの油断が大惨事を引き起こしかねないことを国民に知らせた出来事である。
その中で、政治家たちのシレッとした裏金事件は全く許し難い行為であり、国民の租税義務さえ放棄しかねない風潮を生み出す可能性さえ孕むような由々しき事態と言える。そこで、今求められるものはかつての明治維新、昭和初期の青年将校による昭和維新(2・26事件)などの若者たちの已むにやまれぬ心情が国家を救おうとする意気込みではなかろうかと期待している。
それはさておき、少子高齢化はもはや目を覆うばかりであり、我々医療業界における今後の展望は正しく暗いものと言える。特に、今の徳島県は全国の歩みを10年以上先取りしており、大きな発展は明らかに望めない状況と言える。一に、人口流出に伴う働き手の極端な現象が10年後に予想され、老齢人口さえ縮小し、患者の奪い合いから医療機関の淘汰が起こってくると推測されている。そこで、我が鴨島病院の将来像を未来に繋ぐためには、適正な人数で高い病院愛を有する人達の育成は不可欠である。有効な手立てはなかなか見つからないが、職員間のコミュニケーションを緊密に行い、明るく地域に役立っているという自負が保たれる組織を目指していく覚悟である。
古来、人の知恵と創意工夫は恵まれた環境に育ったものではなく、我慢を重ねたものにのみ存在すると“孟子”は説いている。新しい未来は若者の上に降り立ち、必ずやより良い社会をもたらしてもらえるものと信じて、今後の徳寿会グループの発展を期待したいと強く祈念している。
今年、一年順調な歩みを目指して“負けてたまるか”の精神でこの厳しい現実を突破してゆきたいと考えている。
何卒職員一同の奮起と健闘を期待して年初のご挨拶と致します。
徳寿会鴨島病院長 浅野 登